'15読書日記9冊目 『ドイツ古典哲学の本質』ハイネ

ドイツ古典哲学の本質 (岩波文庫 赤 418-5)

ドイツ古典哲学の本質 (岩波文庫 赤 418-5)

ドイツ古典哲学の本質、とはよくもまあ誇大広告的なタイトルをつけたものであるが、もともとはZur Geschichte der Religion und Philosophie in Deutschland、つまり『ドイツの宗教と哲学の物語』くらいである。「歴史」としてもいいけれど、ハイネ自身のそれ自体ではとても愉快な読み物なので「物語」くらいがちょうどいいのではないか。1835年に刊行されている。当時フランスに生活していたハイネが、フランス人にドイツの民族精神、精神生活はこういうもんでっせ、と(かなり偏った形で)記したものである。ハイネは当時、スピノザに傾倒していたらしく、いたるところにスピノザ主義を見つけがちになる。ヘーゲルまでで一応話は終わるのだが、カント、フィヒテに割かれた部分がもっとも熱が入っていて良い。ヘーゲルについての記述は少ない。ドイツ後期啓蒙期、1780-90年代のことも多く書かれている。