2016-01-01から1年間の記事一覧

マーサ・ヌスバウム:インタビュー「怒りはきわめて有用でもある」――右派ポピュリズムがどのようにして感情を利用し、また政治にはなぜもっと愛が必要なのか。

ドイツのZeit紙の大学生版に掲載されたマーサ・ヌスバウムへのインタビュー。政治と情念の関係について、いくつか語っています。ものすごくナイーブに聞こえますが、なかなかうーん。うーん。感情と法―現代アメリカ社会の政治的リベラリズム作者: マーサヌス…

読書日記 『カール・マルクス――「資本主義」と闘った社会思想家』佐々木隆治

カール・マルクス: 「資本主義」と闘った社会思想家 (ちくま新書)作者: 佐々木隆治出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2016/04/06メディア: 新書この商品を含むブログ (12件) を見るマルクス主義ではなくマルクスへ還れ、という標語でさえ陳腐なものになって…

こんな風にして民主主義は終わるのか/デイヴィッド・ランシマン

ケンブリッジ大学の政治学者デイヴィッド・ランシマンの大統領選挙に関するエッセイの翻訳です。 センセーショナルなタイトルですが、これはいわば反語で、ポール・クルーグマンが言うようには、アメリカは失敗国家になったのではないというわけです。ランシ…

読書日記 『正義への責任』アイリス・マリオン・ヤング

正義への責任作者: アイリス・マリオン・ヤング,岡野八代,池田直子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/06/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見るアイリス・マリオン・ヤングの遺作。社会的な不正義の構造を特定する必要性から説き起こし…

「嘆かわしい」マジョリティ?/ヤン・ヴェルナー・ミュラー

政治学者ヤン・ヴェルナー・ミュラーの大統領選に関する考察です。 ミュラーさんは、ワイマール体制やカール・シュミットの研究のほかに、近年では『憲法パトリオティズム』という著作があり、最近では『ポピュリズムとは何か』という本を出版しています。翻…

読書日記 『ザ・ロード』コーマック・マッカーシー

ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)作者: コーマック・マッカーシー,黒原敏行出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/05/30メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 54回この商品を含むブログ (67件) を見るはじめてのコーマック・マッカーシー。SF小説なんやけど、超…

彼らは誰なのか? ジュディス・バトラー

ドイツの新聞がトランプの当選を受けて、アメリカの知識人に寄稿を求めていました。そのなかからバトラーのものを訳しました。重訳になってしまいましたが。 http://www.sueddeutsche.de/kultur/us-wahl-amerikas-intellektuelle-stehen-unter-schock-1.3243…

読書日記 『怒り』吉田修一

怒り(上) (中公文庫)作者: 吉田修一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2016/01/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (26件) を見る怒り(下) (中公文庫)作者: 吉田修一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2016/01/21メディア: 文庫この商品を含むブ…

'16読書日記10冊目 『民主主義の源流:古代アテネの実験』橋場弦

民主主義の源流 古代アテネの実験 (講談社学術文庫)作者: 橋場弦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/01/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る古代ギリシア、特にアテネの民主政は、毀誉褒貶著しいものがあるが、実体はよく分からないものだ…

'16読書日記9冊目 『迷走する民主主義』森政稔

迷走する民主主義 (ちくま新書)作者: 森政稔出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2016/03/07メディア: 新書この商品を含むブログ (9件) を見る変貌して、迷走する民主主義… Ach, Demokratie... やや悲観的な書きぶりだったが、これが真摯な学者たる態度なので…

'16読書日記8冊目 『ポスト代表制の政治学』山崎望・山本圭

ポスト代表制の政治学 ―デモクラシーの危機に抗して―作者: 山崎望,山本圭出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2015/03/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る代表制民主主義の危機が叫ばれて久しい。民意と代表の乖離というのが、その最…

'16読書日記7冊目 『連帯と自由の哲学』リチャード・ローティ

連帯と自由の哲学―二元論の幻想を超えて (岩波モダンクラシックス)作者: R.ローティ,冨田恭彦出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/11/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (12件) を見る久しぶりにローティ。彼の政治観はあま…

'16読書日記6冊目 『社会科学と高貴ならざる未開人』ロンルド・ミーク

社会科学と高貴ならざる未開人―18世紀ヨーロッパにおける四段階理論の出現作者: ロンルド・L.ミーク,田中秀夫,村井路子,野原慎司出版社/メーカー: 昭和堂発売日: 2015/10/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る極めて面白い本であるのに、き…

'16読書日記 5冊目『啓蒙の都市周遊』エンゲルハルト・ヴァイグル

啓蒙の都市周遊作者: エンゲルハルト・ヴァイグル,三島憲一,宮田敦子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1997/09/29メディア: 単行本購入: 1人 この商品を含むブログ (3件) を見るドイツ啓蒙を、都市ごとに論じた好著。ただ、「啓蒙主義」という訳語はどうな…

'16読書日記 4冊目『ユートピア的身体/ヘテロトピア』フーコー

ユートピア的身体/ヘテロトピア (叢書言語の政治)作者: ミシェルフーコー,Michel Foucault,佐藤嘉幸出版社/メーカー: 水声社発売日: 2013/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 私が言いたいのは次のようなことだ。人は、中性的で無色の時間…

'16読書日記 3冊目『プラグマティズム入門』伊藤邦武

プラグマティズム入門 (ちくま新書)作者: 伊藤邦武出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2016/01/06メディア: 新書この商品を含むブログ (8件) を見る前々からプラグマティズムについてはいいイメージを持ってこなかった(デューイとローティを読んだ)のだが、…

'16読書日記 2冊目『プラットフォーム』ミシェル・ウエルベック

プラットフォーム (河出文庫)作者: ミシェルウエルベック,Michel Houellebecq,中村佳子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/10/06メディア: 文庫この商品を含むブログ (9件) を見るこの人は、イスラム蔑視や女性嫌悪といった言辞を弄するけれども、そ…

'16読書日記 1冊目『供述によるとペレイラは…』アントニオ・タブッキ

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)作者: アントニオタブッキ,Antonio Tabucchi,須賀敦子出版社/メーカー: 白水社発売日: 2000/08/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 22回この商品を含むブログ (25件) を見る素晴らしい。