'16読書日記10冊目 『民主主義の源流:古代アテネの実験』橋場弦

古代ギリシア、特にアテネの民主政は、毀誉褒貶著しいものがあるが、実体はよく分からないものだと思っていた。本書は、アテナイ民主政の制度史の専門家による、概説書である。
古代民主政、とりわけその公職弾劾裁判について記述が深い。衆愚制に陥って破滅したアテナイという評価も、かなりの程度見直されるべきだろう。だが、民衆による裁判というものについて、三権分立の観点から(ある種のアナクロニズムをおかしてでも)考える必要がある。