最近読んだ本と頂いた本。重田園江『社会契約論』、金彗『カントの政治哲学』、ジョナサン・イスラエル『精神の革命』、『新・カント読本』

社会契約論: ホッブズ、ヒューム、ルソー、ロールズ (ちくま新書 1039)作者: 重田園江出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/11/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (21件) を見るカントの政治哲学: 自律・言論・移行作者: 金慧出版社/メーカー: 勁草…

網谷壮介『カントの政治哲学入門』出版

初めての単著が2/7に出版されました。カントの政治哲学入門: 政治における理念とは何か作者: 網谷壮介出版社/メーカー: 白澤社発売日: 2018/02/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 『永遠平和のために』という本のタイトルは聞いたことが…

ホッブズの民主制論――リチャード・タック『眠れる主権者』

『リヴァイアサン』によれば、設立されたコモンウェルスは自然状態における人びとが互いに契約を交わすことによって成立する。群れのなかの個々人相互の契約によって主権が創設されるという、この驚くべきメカニズムの影に隠れて、ひそかにその群れのなかで…

17.10.25

小雨。また台風が近づいてきているらしい。 4限に市野川先生ゼミ。R. Koselleck, Vergangene Zukunftの中から、"Vergangene Zukunft der frühen Neuzeit"を読む。難しい。Prophetie → Prognose → Fortschrittと、歴史の意味論が変化していくということなのだ…

論文

NEU!! 「カントの権利論」田上孝一編『権利の哲学入門』社会評論社、2017年、103-117頁。権利の哲学入門作者: 田上孝一,石野敬太,鷲田睦朗,川元愛,新村聡,小城拓理,吉田修馬,綱谷壮介,小沢佳史,荒川幸也,松井暁,高木智史,伊藤克彦,玉手慎太郎,入江公康,斉藤…

最近頂いた本

ボワソナードと近世自然法論における所有権論―所有者が二重売りをした場合に関するグロチウス、プーフェンドルフ、トマジウスおよびヴォルフの学説史作者: 出雲孝出版社/メーカー: 国際書院発売日: 2016/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見…

最近読んだ本:ミシェル・ウエルベック『ある島の可能性』稲葉振一郎『政治の理論』岡田与好『独占と営業の自由』

ある島の可能性 (河出文庫)作者: ミシェルウエルベック,Michel Houellebecq,中村佳子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/01/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る久しぶりに読んだ小説がこれで、満ち足りた時間だったといえばそうだっ…

マーサ・ヌスバウム:インタビュー「怒りはきわめて有用でもある」――右派ポピュリズムがどのようにして感情を利用し、また政治にはなぜもっと愛が必要なのか。

ドイツのZeit紙の大学生版に掲載されたマーサ・ヌスバウムへのインタビュー。政治と情念の関係について、いくつか語っています。ものすごくナイーブに聞こえますが、なかなかうーん。うーん。感情と法―現代アメリカ社会の政治的リベラリズム作者: マーサヌス…

読書日記 『カール・マルクス――「資本主義」と闘った社会思想家』佐々木隆治

カール・マルクス: 「資本主義」と闘った社会思想家 (ちくま新書)作者: 佐々木隆治出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2016/04/06メディア: 新書この商品を含むブログ (12件) を見るマルクス主義ではなくマルクスへ還れ、という標語でさえ陳腐なものになって…

こんな風にして民主主義は終わるのか/デイヴィッド・ランシマン

ケンブリッジ大学の政治学者デイヴィッド・ランシマンの大統領選挙に関するエッセイの翻訳です。 センセーショナルなタイトルですが、これはいわば反語で、ポール・クルーグマンが言うようには、アメリカは失敗国家になったのではないというわけです。ランシ…

読書日記 『正義への責任』アイリス・マリオン・ヤング

正義への責任作者: アイリス・マリオン・ヤング,岡野八代,池田直子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/06/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見るアイリス・マリオン・ヤングの遺作。社会的な不正義の構造を特定する必要性から説き起こし…

「嘆かわしい」マジョリティ?/ヤン・ヴェルナー・ミュラー

政治学者ヤン・ヴェルナー・ミュラーの大統領選に関する考察です。 ミュラーさんは、ワイマール体制やカール・シュミットの研究のほかに、近年では『憲法パトリオティズム』という著作があり、最近では『ポピュリズムとは何か』という本を出版しています。翻…

読書日記 『ザ・ロード』コーマック・マッカーシー

ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)作者: コーマック・マッカーシー,黒原敏行出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/05/30メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 54回この商品を含むブログ (67件) を見るはじめてのコーマック・マッカーシー。SF小説なんやけど、超…

彼らは誰なのか? ジュディス・バトラー

ドイツの新聞がトランプの当選を受けて、アメリカの知識人に寄稿を求めていました。そのなかからバトラーのものを訳しました。重訳になってしまいましたが。 http://www.sueddeutsche.de/kultur/us-wahl-amerikas-intellektuelle-stehen-unter-schock-1.3243…

読書日記 『怒り』吉田修一

怒り(上) (中公文庫)作者: 吉田修一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2016/01/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (26件) を見る怒り(下) (中公文庫)作者: 吉田修一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2016/01/21メディア: 文庫この商品を含むブ…

'16読書日記10冊目 『民主主義の源流:古代アテネの実験』橋場弦

民主主義の源流 古代アテネの実験 (講談社学術文庫)作者: 橋場弦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/01/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る古代ギリシア、特にアテネの民主政は、毀誉褒貶著しいものがあるが、実体はよく分からないものだ…

'16読書日記9冊目 『迷走する民主主義』森政稔

迷走する民主主義 (ちくま新書)作者: 森政稔出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2016/03/07メディア: 新書この商品を含むブログ (9件) を見る変貌して、迷走する民主主義… Ach, Demokratie... やや悲観的な書きぶりだったが、これが真摯な学者たる態度なので…

'16読書日記8冊目 『ポスト代表制の政治学』山崎望・山本圭

ポスト代表制の政治学 ―デモクラシーの危機に抗して―作者: 山崎望,山本圭出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2015/03/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る代表制民主主義の危機が叫ばれて久しい。民意と代表の乖離というのが、その最…

'16読書日記7冊目 『連帯と自由の哲学』リチャード・ローティ

連帯と自由の哲学―二元論の幻想を超えて (岩波モダンクラシックス)作者: R.ローティ,冨田恭彦出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/11/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (12件) を見る久しぶりにローティ。彼の政治観はあま…

'16読書日記6冊目 『社会科学と高貴ならざる未開人』ロンルド・ミーク

社会科学と高貴ならざる未開人―18世紀ヨーロッパにおける四段階理論の出現作者: ロンルド・L.ミーク,田中秀夫,村井路子,野原慎司出版社/メーカー: 昭和堂発売日: 2015/10/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る極めて面白い本であるのに、き…

'16読書日記 5冊目『啓蒙の都市周遊』エンゲルハルト・ヴァイグル

啓蒙の都市周遊作者: エンゲルハルト・ヴァイグル,三島憲一,宮田敦子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1997/09/29メディア: 単行本購入: 1人 この商品を含むブログ (3件) を見るドイツ啓蒙を、都市ごとに論じた好著。ただ、「啓蒙主義」という訳語はどうな…

'16読書日記 4冊目『ユートピア的身体/ヘテロトピア』フーコー

ユートピア的身体/ヘテロトピア (叢書言語の政治)作者: ミシェルフーコー,Michel Foucault,佐藤嘉幸出版社/メーカー: 水声社発売日: 2013/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 私が言いたいのは次のようなことだ。人は、中性的で無色の時間…

'16読書日記 3冊目『プラグマティズム入門』伊藤邦武

プラグマティズム入門 (ちくま新書)作者: 伊藤邦武出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2016/01/06メディア: 新書この商品を含むブログ (8件) を見る前々からプラグマティズムについてはいいイメージを持ってこなかった(デューイとローティを読んだ)のだが、…

'16読書日記 2冊目『プラットフォーム』ミシェル・ウエルベック

プラットフォーム (河出文庫)作者: ミシェルウエルベック,Michel Houellebecq,中村佳子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/10/06メディア: 文庫この商品を含むブログ (9件) を見るこの人は、イスラム蔑視や女性嫌悪といった言辞を弄するけれども、そ…

'16読書日記 1冊目『供述によるとペレイラは…』アントニオ・タブッキ

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)作者: アントニオタブッキ,Antonio Tabucchi,須賀敦子出版社/メーカー: 白水社発売日: 2000/08/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 22回この商品を含むブログ (25件) を見る素晴らしい。

論文

NEU! 「カントの共和制の諸構想と代表の概念」『社会思想史研究』第40号、2016年、60-79頁。〔社会思想史学会年報〕 社会思想史研究 No.40 [特集]〈市民社会〉を問い直す作者: 社会思想史学会出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2016/09/21メディア: 単行本(…

'15読書日記43冊目 『戦争と平和の権利』リチャード・タック

戦争と平和の権利―政治思想と国際秩序:グロティウスからカントまで作者: リチャードタック,Richard Tuck,萩原能久出版社/メーカー: 風行社発売日: 2015/07/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る人文主義と国家理性論の結びつきから、グロテ…

'15読書日記42冊目 『自分で考える勇気:カント哲学入門』御子柴善之

自分で考える勇気――カント哲学入門 (岩波ジュニア新書)作者: 御子柴善之出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/03/21メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見る非常に良い入門書。カント哲学を身近な問題に引き付けつつ説明されているので、初学者で…

'15読書日記41冊目 『真理と方法』ハンス・ゲオルク・ガダマー

真理と方法〈1〉哲学的解釈学の要綱 (叢書・ウニベルシタス)作者: ハンス=ゲオルクガダマー,Hans‐Georg Gadamer,轡田收,大石紀一郎,麻生建,三島憲一,北川東子,我田広之出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2012/11/01メディア: 単行本 クリック: 1回この…

'15読書日記40冊目 『代議制民主主義』待鳥聡史

代議制民主主義 - 「民意」と「政治家」を問い直す (中公新書)作者: 待鳥聡史出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/11/21メディア: 新書この商品を含むブログ (20件) を見る代議制と一口に言っても、様々な形態があり、どのような選挙制度(比例制・小…