'16読書日記9冊目 『迷走する民主主義』森政稔

迷走する民主主義 (ちくま新書)

迷走する民主主義 (ちくま新書)

変貌して、迷走する民主主義… Ach, Demokratie...
やや悲観的な書きぶりだったが、これが真摯な学者たる態度なのではないかと思わされる本書である。
政治改革を掲げた政治学者たちへの痛烈な批判、民主党政権時代の政策や権力観などを総ざらい的に回顧し点検する眼差し。昨今の自民党政権への嫌気から、民進党や野党連合へ否応なく期待も高まるのだが、そうした熱に浮かされる前に、あのChangeの時代を冷静に検討し、何を反省すべきだったのかを考察するべきだ――これが本書の基調であろうと私は読み取った。
本書の民主党政権下の評価は極めて辛いが、特に陸海空の交通に関する民主党時代の政策のダメさ加減は、筆者でなければこれほどまでにクリアに論じられず、あたかも交通政策が民主党政権の迷走を象徴してさえいるようである。これだけを読むためだけにも、価値のある本。

変貌する民主主義 (ちくま新書)

変貌する民主主義 (ちくま新書)