'12読書日記25冊目 『アクセス・デモクラシー論』斎藤純一・田村哲樹編
- 作者: 齋藤純一,田村哲樹
- 出版社/メーカー: 日本経済評論社
- 発売日: 2012/01/01
- メディア: 単行本
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総計7005p
森政稔先生
当然のことであるが、政治は政治のみで閉じるシステムではなく、社会との関連で機能する。社会にはそれぞれの領域における合理性が存在し、これらを顧慮しない政治的介入は混乱をもたらすだろう。議院内閣制のもとでの政権与党は、立法と行政の両権を掌握しているから、憲法改正の発議まで含めて、たいていのことは制度的には可能である。しかしそのことと実際に政府が「強い」こととは別問題であり、何でもできるという政府の恣意性をその強さとは取り違えてはいけない。政治が社会に対してもつリフレクシヴな関係に、政権交代の政治学は十分な配慮をして来なかった。
野口雅弘先生
また、「新しい公共」における参加については、新自由主義的なイデオロギーのもとで推し進められたNPM(引用者注―New Public Management)を補完する、公的な不払い労働ではないのかとの批判もある。
これに対する注
もちろん今村都南雄が指摘するように、公共性が行政の独占物ではないという「市民的公共性」のり念は、財政危機を背景とした「行政の効率化」とは本来、別ものであり、区別されるべきである。しかし、現実にはしばしば前者は後者のための方便として、つまり「行政のアウトソーシング」の論理として使われているということも、否定出来ないであろう。ここでも、新自由主義の論理による絡め取りが、確認できるのである。