夏休み読書マラソン3冊目 99%の誘拐 岡嶋二人


誘拐された息子が20年後、犯人たちに復習の誘拐をくりひろげる。完全に電子化された誘拐。息を詰める駆け引き。駆け抜けるストーリーテリング。正真正銘のエンタテイメント小説。

99%の誘拐 (講談社文庫)

99%の誘拐 (講談社文庫)



電子テクを多用した誘拐事件。それは20年前に起こっていた誘拐事件に端を発していた。20年前に誘拐された子供、生駒慎吾は、父が末期癌の床にありながら畢生の思いで書き記した誘拐についての手記を読み、その犯人を悟る。誘拐犯に父の夢が潰されたことを知った慎吾はその犯人らに復讐を企てる。20年前に起こった忌々しい事件をトレースして。コンピューターによって完全にプログラミングされた誘拐が今、幕を開ける===


警察との駆け引きやスキー場での華々しい場面を持ち合わせている完全なるエンターテイメント小説。なんやけどねえ。

主人公とか、その周囲の人物に対する描写がいまいち。もっと掘り下げてほしかった。誘拐をたった一人で成功させようとする慎吾の孤独、緊張。宮部みゆきなら同じ題材でもっと深くかける気がする。確かに、あまりのめまぐるしいほどに華麗なストーリーテリングに読者はぐいぐい引き付けられて、振り回されて、いつのまにか、読み終えてしまっているのだが、いかんせん、読み終えたら「ハイ、それまでよ」の小説なのだ。気になるシーンをもう一度、とまではいかないのだ。


443p

総計 1300p