07読書日記82冊目 「東京奇譚集」村上春樹


東京奇譚集 (新潮文庫)

東京奇譚集 (新潮文庫)


年の終わりに村上春樹を読んで、豊かな気持ちになるのコーナー!!!


うーん。現代の寓話集といったかんじか。やっぱり最後の「品川猿」には深く悲しい傷と、それを乗り越えていくことを示唆する、今までの村上の作品にはないようなオプティミスティックな雰囲気があった。


名前、とはその人を代表するものであり、その名前を常に身につけて現実感を持って生きているからこそ、その人の行動に責任感というものが生じるわけである。その点インターネット上の匿名掲示板には、「責任」が存在しない。


あらゆる意味で、人間は自分という責任を背負って生きざるを得ない。それがいいものであるにしろ、悪いものであるにしろ、そこから目をそらさずに深く自分で自分を受け入れていくことしかできない。責任。


責任、なんと痛切で、それでいて甘美な言葉だろう。言葉に出すと言うことは責任を負うことだとは、前も書いた。


俺は、俺に責任を負えるような、つまり言葉に出すことのできるような、人間に、来年こそはなれるだろうか。


246p

総計22495p