08読書日記14冊目 「走れウサギ」アップダイク


わざわざ附属図書館の書庫から探してきたアップダイクの出世作「走れウサギ」。もはや絶版となって久しいこの作品は、アメリカ文学が担う繁栄の陰にある薄暗さ、とは違って、もっと下世話で中産階級のばたばたとした悲劇を描く。

美しい夕陽が沈んでいくときのような虚無感につつまれた作品。大江の個人的な体験に多大な影響を与えたのではないか、とも思ってみる。

責任という言葉は美しいが、それを考えればいつも猛然と逃げ出したくなる気持ちにもかられるのだ。


「われわれは許されるような行動をしなければならない。われわれは、あらゆる物の背後にひそんでいるものを見るだけの権利を自分の手で獲得しなければならない。」

「善とか悪とかは天から降ってくるものじゃない。われわれが、われわれがそれを作るんだ。不幸というものに対して、常にそうなんだ」

いや、それにしてもこの翻訳終わってた。ほんで、やっぱし二段組の本は読みづらくてしゃーない。読書が滞ってきた。本腰を入れて読まねば。

321p
総計3799p