ゼミで『「
文明論之概略」を読む』を読むということで、読んだ。日本の思想的な「雑居性」「無限抱擁性」を論拠に、
否定神学的に設定された「國體」がいかに民衆の精神的内部にまで及んでいった歴史を論じている。
否定神学的、とは
大澤真幸のkeywordではあるが、まさしく仏教哲学の「一如」史観を
俗流に通用し、全てを抱擁しつくす風に「習合」を繰り返してきた日本思想の伝統的な「雑居性」を基底とする、「國體」は、無限的に抱擁する代わりに、反「國體」として定義された思想については、峻烈な権力として姿を現すのだ。(そのような雑居性を持った日本の思想は、他の異質な思想に対してはその
イデオロギーの「暴露」を行いうるだけであり、「批判」を行ってはいなかった。)さらに、そのように設定された「國體」は、同属支配的な構造「むら」的な組織に存在する「温情」とも相まって、国民の精神内部に影響を及ぼしていく。丸山は、つまるところ、そのような「國體」が
イデオロギーとして作用し、フィクションとしての「制度」の限界を忘れてしまうことを恐れる。
というような雰囲気やねんけど、実際、途中は難しくて、てこずり気味。「する」こと「である」こと、とか蛸壺型、みたいなのは、あんまし、おもしろくなかったというか、まぁよくある論説のもっともauthorityのものなのだろう。「忠誠と反逆」もあわせて読みたい。
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