08読書日記43冊目 「忘れられた日本人」宮本常一

忘れられた日本人 (岩波文庫)

忘れられた日本人 (岩波文庫)

読書会の本。

明治から戦後直後にかけての西日本を中心とする農村の生活を描いたもの。柳田民俗学とは対照的に「生活」に注目して、フィールディングしてきた著者の、インタビュワーとしての態度は、インタビュイーである農民らと等しい目線をもって接するものであり、好感が持てる。非常にオープンな性、そして生活を彩る冗談、ヒューモアの類は、読んでいて痛快であるし、西洋的貞操観念の浸透しておらぬ本来の日本人の土着的な性格を推し量ることができる。

果たして、戦後、いつごろから農村は資本主義の渦状腕に巻き込まれ、西洋的価値観に強姦されていったか。その過程を知らせる本も読みたいものである。

334p
総計11293p