08読書日記44冊目 「生物と無生物のあいだ」福岡伸一

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

大ベストセラー。

流麗な文章は、本書を称える枕詞の一つになろうが、結局のところ一番の魅力は、分子生物学の黎明から現代にかけてまでを専門的に深めながらも、知的スリリングをもって読ませることである。結構専門的な話も、食傷せずに読むことができ、それこそ自らが「思考実験」を行っているかのような興奮を覚える。

自己複製機能、動的平衡エントロピーの概念、時間概念からの、「生物」の「生」の説明は興味深いが、結局のところ、根本的に生物と無生物を分ける決定的な説明はなされていないようにも思える。ウイルスを生物ととららえるのか、無生物ととらえるか、などの議論も調べてみたいところではあるが。

文系はただ本書を読んで感嘆するほかないが、理系、とくに生物分野の学生からの反駁を期待したいところだ。

285p
総計11578p