09読書日記30冊目 『長いお別れ』レイモンド・チャンドラー
- 作者: レイモンド・チャンドラー,清水俊二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976/04/01
- メディア: 文庫
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「さよならはわずかのあいだ死ぬことだ」。この言葉には、今自分の前で生きていた人間が、次の瞬間には全く変わり果ててしまっているかもしれない刹那主義の含意がある。自分を信じて、その自分が信じられる人間を信じること、これは刹那主義のさよならを、死に変換する要素である。「さよなら」は、目の前にいる表層的な人間にだけ向けられるのではない。「さよなら」は、もっと根本的で本質的に分かり合えているはずの人間に、別れを告げるときに用いられるので無ければならない。自分を徹底して信じてくれるものに対してする別れ、それこそが本当の「さよなら」だ。
『ほんとのさよならは悲しくて、さびしくて、切実な響きを持っている』
545p
総計10229p