09読書日記64冊目 『今こそマルクスを読み返す』廣松渉

今こそマルクスを読み返す (講談社現代新書)

今こそマルクスを読み返す (講談社現代新書)

初めて廣松の本を読んだのだったが、うーん。新鮮味がないというか。柄谷らのマルクス読解のほうが面白かった気がする。消費社会の分析についても、いまひとつぴんとこない。ただ、奢侈品の生産がすなわち剰余価値の生産となり、それは資本主義経済的な視点から見れば、合理的ではあっても、人類史的、自然環境的な観点から見れば、どうしようもない浪費である、という論理は面白い。現代において、人々は二重の意味で奴隷となるだろう。賃労働者は消費せざるをえない、という意味で消費奴隷であり、同時に資本主義的社会関係の中では賃金奴隷なのである。

共産主義社会を打ち立てるということはともかくも、歴史的に見て失敗してきたわけだったのだが、これをいかに理念的に再構成していくのかという問題を著者は念頭においているようだ。

第一章の存在論を扱ったところも、哲学的でかつ刺激的。けど、なんか全体としては物足りない。やっぱり『世界の共同主観的存在構造』をよまなあかんか。

他に読んではる人
http://d.hatena.ne.jp/martbm/20080323
http://d.hatena.ne.jp/icchan0000/20090210

270p
総計21340p