時計じかけのオレンジ
週に最低一本映画を見ようと心がけている。先日はスタンリー・キューブリック監督『時計じかけのオレンジ』を見た。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2008/09/10
- メディア: DVD
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しかし、治安を維持しようとするような政策、例えば劇中で出てくる新薬――セックスや暴力などの反社会的な行為を欲望するだけで生理的不愉快が喚起される――を用いて、反社会的な行為への選択の芽を削ぐことは、本質的な解決につながるだろうか。刑務所内の牧師がいみじくも語るように、人間の善性は選び取られるものでなくてはならない。選択の自由を真の自由だとするのならば、選択肢は悪の側にも閉じられてはならない。
と、考えることはあまりにこの映画を表層的に捉えることになろうか。どうして主人公がベートーベンの第九をこよなく愛していたのか、あるいはベートーベンを溺愛していたのか。あるいは、主人公が自殺後もどうしてあのように変わらないままであったのか。「雨に唄えば」が与えられた役割は? これらの問いは、映画を理解するために欠かせない要素ではあるが、今の僕にはしっくりきてはいない。