'10読書日記17冊目 『イェルサレムのアイヒマン』ハンナ・アレント

イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告

イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告

239p
総計4258p

まず、banalityを「陳腐さ」と訳していいのだろうか、ということを思う。凡庸さ、とか、平凡さとかのほうがいいような気もする。ODEによればbanal:so lacking in originality as to be obvious and boringとある。

アレントの語り口が、かなり皮肉めいていて、そりゃ当時のユダヤ人らが大激怒するのも想像に難くない。しかし、アイヒマンのクリチェは、クンデラキッチュに通じるものがあると思ったし、アレントの語り口はクンデラの小説を想起させもした。そしてなによりカフカ的だとも思ったのである。