'11読書日記38冊目 『社会は絶えず夢を見ている』大澤真幸

社会は絶えず夢を見ている

社会は絶えず夢を見ている

319p
総計12207p
実際に朝日出版の会議室で行われた講義を四回分収録している。常々、大澤先生の面白さは講義において現れると思っていた。教壇のあちこちをうろうろしつつ、原稿に時折目をやりながら進められる講義は、京大でうけていたときにも毎回感銘したものだった。第一講「「日本語で考えること」を考える」は、安易な日本人論や丸山真男加藤周一らの日本論のようなディレッタンティズムにも陥らず、のっけから非常に興味深い考察と未来への展望が開かれる。本著では様々なことが論じられているが、最後に革命の時間性について触れられているところは白眉だと思う。大澤先生が近年論じてきたことだが、それの含意がというか政治的・理論的ポテンシャルが初めてきちんと理解できたように思う。