'11読書日記43冊目 『カントの法論』中島義道
- 作者: 中島義道
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/09
- メディア: 文庫
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総計13724p
同著者の『カントの自我論』のほうが面白い、というより本書はその余滴であるという感じがした。『カントの法論』とは言うものの、包括的な法論にしては共和主義や社会契約の話なども抜けているし、道徳論を法の観点から描き出したものといったほうが正しい。前半第一章の「カントの身体論」はなかなか興味深いのだが、その含意が煮詰められていないような気がする。全体的に中途半端というか『自我論』よりもインパクトは薄い。
とはいえ、やはり、いかのような分析がちゃんと出てくるところは読み甲斐があるとも言える。
ここに、理性的存在者としての人間と責任との連関が見えてくる。常に必ず的法的行為をなす者は、責任とは無縁であろう。神はいっさいの責任を負わない。違法的行為をなすように理性によって命じられていない者もまた、明らかに責任とは無縁である。動物や子どもは責任を負わない。責任の主体とは、適法的行為をなすように理性によって絶対的に命じられているにもかかわらず、この命法に反し違法な行為をなす者(のみ)である。