'11読書日記77冊目 『紀律と啓蒙 フリードリヒ大王の啓蒙絶対主義』屋敷二郎

紀律と啓蒙―フリードリヒ大王の啓蒙絶対主義 (MINERVA人文・社会科学叢書)

紀律と啓蒙―フリードリヒ大王の啓蒙絶対主義 (MINERVA人文・社会科学叢書)

163p
総計23093p
フリードリヒ啓蒙専制君主の「啓蒙絶対主義」に関する包括的な研究。フリードリヒ大王の啓蒙的な統治は、フーコーが『監獄の誕生』や『安全・領土・人口』などで取り上げたりしていたが、大王自身の著作は(多分)翻訳がなくこの本は貴重である。フリードリヒの国家思想の構造は

一言で言えば、君主義務論を媒介項とした、社会契約論と親政・権力政策との相補的協働関係である。

「正義こそ君主の主たる目標であらねばならない」し、「彼の統治する人民の福祉こそ他のすべての利害に優先せねばならない」という命題は、社会契約から導きだされている。「君主は、自己の支配下にある人民の絶対的主人であるどころか、その第一の下僕にすぎない」という有名な一節・・・

フリードリヒは「啓蒙性」と「権力性」を対立項としては捉えず、君主を人民の「共通利害」へと拘束することによって、「啓蒙された」国家権力の行使を可能にしたのである。