'14読書日記41冊目 『エヴリシング・フロウズ』津村記久子

エヴリシング・フロウズ

エヴリシング・フロウズ

某旅行の行き帰りに読了。津村記久子は『ポトスライムの船』、『君はそいつらより永遠に若い』を熱狂的に(というのはこの人の作品を読むときには最も不適切な言葉の一つではあるが敢えて)読んだのだった。社会のモデルコースから外れてしまった個人、あるいは今回の『エブリシング・フロウズ』のように中学校の教室で目立たない冴えない奴、このような主題はありふれているかもしれないが、独特のセンスとでもしか呼びようのない文章やユーモアで、他の作家から頭抜けていると思う。今回は、おそらく大阪の大正区を思わせる場所を舞台に、大阪弁が地の言葉にも大々的にフューチャーされる。家族や友人と難しい関係に立たざるをえない中学生の心象を、うまく描けていて、なんどか胸を締め付けられた。