'15読書日記19冊目 『通天閣』西加奈子

通天閣 (ちくま文庫)

通天閣 (ちくま文庫)

大阪行きの飛行機のなかで読んでいたら、強烈にミーハーな人に思われているんではないかとハラハラした。読書会で読んだ本。面白いことは面白いのだが、結局「大阪あるある」の域を出ていない(しかし非常に充実したあるあるではある)し、穿った見方をしてしまえば(してしまいたくなる)比喩さえも「うまいこというたろ」感を感じてしまう。主人公は二人いるのだが、最初は交わらない物語がクライマックスで思いもしない形で交わる(主人公ら当人は気づいていないが読者にはそう分かる)というのも、僕は好きではない。なぜそこを交わらせない勇気を持たないのか。クライマックスにしても、なぜ太字フォントや改行で言葉や真理を強調してしまうのか。そういう表面上のことではなくて、文章表現としてそれを表して欲しい。イラッとする。と、悪口を書き連ねたくなるほどには、面白い読書ではあった。