夏休み読書マラソン6冊目 砂の城 遠藤周作


砂の城 (新潮文庫)

砂の城 (新潮文庫)


「海と毒薬」とか「沈黙」に見られるような死生観とかキリスト教信仰みたいなものを主題にした重い純文学ではなくて、いわゆる青春小説。長崎の素晴らしい自然の中で育った3人の男女のそれぞれの人生の岐路を描いている。澄み渡る海と、まばゆいほどどこまでも続く白い砂浜、それを包み込む青い空。一人は、恋人を追って神戸まで行き、恋人のために会社の金を横領して貢ぎ、逮捕されてしまう。また一人は過激派グループに入り飛行機をハイジャックして射殺される。そして主人公の泰子はスチュワーデスとなり、その飛行機に同乗していた。


テーマは「善いことと美しいこと」三人とも、自らが信じる善い事と美しい事を追い求めて生きた。それが誤っているとか外れているとかは誰にもいえないだろう。美しいことの気高さや、善いことを求め続けるはかなさが深々と心に響いた。すごくよかった。あっさり読めたし。ただ、巻末についている書評に腹が立った笑


321p

総計2015p