読書日記 「パルタイ」 倉橋由美子


パルタイ (新潮文庫)

パルタイ (新潮文庫)

存在の認識は私を恥辱する。羞恥心は嘔吐を催させ全存在を否定する。反世界の中でのみの存在を羞恥し、その狂気は冷冽なる氷河を心なる狭窄に流し込み、硬直した体だけがこちら側の世界に残る。


そんな小説です笑 純文学です。相当の覚悟がないと手を出してはいけません。その燃え滾る炎風はあなたを羞恥心で焦がし、その凍てついた観察は感情の動きを許しません。


思想を道具として使う世代への痛烈なるアンティテーゼの裏に、自身の存在を恥じる感情が芽生え、その思想よりも何よりも自らの欲するところへ赴くことを謳っています。生理的汚穢をまざまざと描き出し、人間の根本にあるグロテスクなものを露にした小説です。



242p

総計 3710p


今日の回文:縫い込んだん?子犬