読書日記 「ふたりの証拠」「第三の嘘」 アゴタ・クリストフ


ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)

ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)

第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)

第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)

心が研ぎ澄まされていくような孤独。耳を塞ぎたくなるような孤独。高温に熱せられた鉄板を押し当てられるような孤独。魂が震えるような孤独。


アゴタ・クリストフの「悪童小説」に続く三部作「ふたりの証拠」と「第三の嘘」を立て続けに読んだ。お腹の空いたリスがカリカリと永劫続くような刻音を立てて胡桃を貪るように、本を読んだ。やがてはクリストフの書き続ける「絶対的な孤独」の空気は私の糧となり、骨肉となる。様々に張り巡らされた伏線が紐解かれていくにつれて、体が緊張するのがわかる。読み終わればそこには圧倒的な世界観に押し倒されて犯されてしまう。怖い。あまりにも、人間が怖い。そういう小説です。あまり希望はないけれど、希望のない事こそが現実であり、あるいは生き延びる手立てはそう考えることなのかもしれない。


これだけです。この震えは久しぶりです。本を読んで体の震えが来たのは村上春樹羊をめぐる冒険」のクライマックス以来です。感動します。その感動はあなたが味わったことのない感動です。決して映画では表現されえない感動です。





238p/222p

総計 4170p