読書日記 「同じ年に生まれて」 小澤征爾・大江健三郎


1935年に生まれた、日本を代表する文化人、小澤征爾大江健三郎の対談集です。二人の時代にはすごい人がたくさんいて、ヒロイズムに溢れた世代だった。一つ上には三島がいて、武満徹がいて、また同世代には谷川俊太郎石原慎太郎井上靖浅利慶太がいる。戦後民主主義によって、インスティテューションからの復帰を果たした優れた文化人が溢れていた。


二人が共通して目指していた夢とは、普遍的な文化を作ることだった。川端康成ノーベル文学賞をとったのは”日本”という偏狭、周縁としての評価、いわばオリエンタリズムの象徴として、彼が受賞したわけだが、それから30年後、大江が今度は”普遍的な”文学として、つまり西洋文学とも、世界文学とも同等に渡り合える、そんな文学が認められての受賞を果たす。もちろん、小澤征爾は、ウィーン、ボストン、トロントなど様々な”音楽高学歴”と呼ばれるような都市の常任指揮者となり成功を収めてきた。


彼らは、二人とも「普遍的な」、それは、つまり”日本”がすごいんだ、”日本”が世界に勝つんだ、というようなナショナリズムではなく、自分が目指す文学なり音楽が人類の普遍の思想や倍音を奏でる、そういう文化を目指してきたのであった。本書の中で、大江が石原を批判するように、「日本」を中心に、つまり、周縁であることを認めずに、自国中心主義を貫くような文化は廃れていくべきものなのである。


大江は言う。「自分を否定する勇気を持ってそれ(文化を創っていくこと)をやらなきゃならない」「個を大切にした文化を創らなければならない。そして孤として、やっていかなければいけない。」「個を主張し、それを押し付けるのではないが、それらが生きているという理念こそ戦後民主主義だと思ってきた。」「責任をもって生きる」


その箴言は私を鼓舞し、啓蒙する。何らかの文化に関わろうとする人、あるいは、本当に未来を作っていかなければならないわれわれ大学生が、大学生の時代に読むべき本だと思うのだ。っていうこと、下の「朗読者」でも書いたよね笑 過剰かね笑



231p

総計6923p


それにしても、もうNHKしか見るもんないな


今日の回文:餅達も

「も」はほんまむずいねん