07読書日記1冊目 「星条旗の聞こえない部屋」リービ英雄


星条旗の聞こえない部屋 (講談社文芸文庫)

星条旗の聞こえない部屋 (講談社文芸文庫)

横浜のアメリカ領事館で暮らす17歳の少年ベン・アイザック。父を捨て、祖国を嫌悪し、新宿の雑多な風景や、漢字かな混じり、和製英語交じりの日本語を愛し、日本人とどうかしたいと強く願う。「越境」することはできるのだろうか―――。




作者は、「日本人の血が一滴も混じっていない」アメリカ人。日本語を母国語としない外国人が日本語を手にとって小説を書くという決心を感じさせる小説。あなどるなかれ、新宿のハードボイルドな描写、ざらつくような心理描写は秀逸。言語の「所有権」を拒絶されていると感じてきた主人公を覆う疎外感が鮮烈である。言葉や文化、制度を超え、人間が直接に交じり合うとはどういうことなのかを問うた作品。リービ英雄のエッセイがセンター国語の評論に使われていたこともありました。(カリフォルニアの太陽のやつ)


日本人が日本語を持って何かを書く、文学するということは何を意味するのか、根本に震源地を発生させた衝撃作。


189p

総計189p