07読書日記24冊目 「ニッポニアニッポン」阿部和重


17歳の引きこもり少年、鴇谷春夫は、自らの名前に「鴇」(トキ)の字があることから、トキに愛着を感じるようになる。その愛着は、やがて、国家へ向けられた憎悪へと変わり、木本桜に対する愛情の反発と共に、トキを抹殺してしまおうとする、一大英雄になろうとするのだが・・・


政治的冒険作!!

ニッポニアニッポン (新潮文庫)

ニッポニアニッポン (新潮文庫)


ではありません笑

最初は、春夫も政治犯=英雄の構図を目指し、それによって人生からの大逆転をもくろんでいたはずですが、その計画は見事に失敗し、とありうべきストーリーに終わる、いわば喜劇です。大変面白く読みました。主人公が引きこもり・ストーカー・ナルシストなのに特に意味はないでしょう。あくまで、それもコントの一要素として描かれただけに過ぎないと思います。では、阿部和重は何が言いたかったのか。話全体を言いたかったのです。きっと。この面白い話を。小道具が子気味よく効いていて、読みやすかったです。純文学であり、ここまで面白いのは久々です。面白いと言ってもinterestingではなくてfunのほう!


p362

総計7320p