07読書日記30冊目 「監獄の誕生―監視と処罰―」ミシェル・フーコー


ゼミで輪読していた「監獄の誕生」をようやく読み終えました。三ヶ月くらいかけて、精読していったわけですが、フーコーは天才過ぎて、凡人の情報処理速度ではその論理展開に中々ついていけず、さらにおそらく訳の不手際のせいで、理解に苦しむ箇所も多々ありましたが、非常に面白かったですね。


「監獄の誕生―監視と処罰―」ミシェル・フーコー(Foucault, Michel) 田村淑訳 新潮社


法学部や、政治家を目指す人には是非読んで欲しい本。権力機構がどのように知を作り出し、人々を支配していくようになるのかについて、<監獄>という観点から書かれています。本論をまとめると(大分乱暴な議論になりますがご了承を)、規律・訓練によって人々を従順で有能な存在に作り変える戦略上に監獄は位置していて、その監獄の理想形が、一望監視方式(パノプティコン)であり、それによっては権力は隠され、人々一人一人が自ら規律・訓練されていくことになります。そして、さらにパノプティコンによる監視システムは都市の至る所に点在するようになり、人々は常に監視されており、その行動が少しでも法律外であれば、「非行者」として監獄に入れられてしまいます。この「非行性」というのは、本書を語る上で最も重要なファクターの一つであり、この「非行性」によって犯罪を非常に扱いやすいものにし、また非行性を再生産し、利用することで、さらにたの非行性をも支配できることになります。最後には、監禁システムについても論じられ、監禁が監獄以外の規律・訓練施設に取り入れられたことから、規律・訓練を実行する権力と、法律を実行する権力との境が曖昧になり、監禁機構自体に権力が紛れ込んでしまうということです。


これはかなり乱暴なまとめ方であり、フーコーはもっと緻密に歴史的背景などを分析しながら論を進めており、権力とはブルジョワが支配し、保有するものではなくて、それを行使して人々を規律・訓練化していくようなものだ、という権力感も刺激的です。

知識人になろう、法律家になろう、政治家になろう、フーコーみたいにホモセクシュアルになろう(笑)というひとは、是非読んでみて!!

ただ、新潮社が新訳を出すのと、一冊5300円するのを厭わなければ・・・

言ってくれれば貸します。


p318

総計8792p

監獄の誕生 ― 監視と処罰

監獄の誕生 ― 監視と処罰