07読書日記43冊目 「善悪の彼岸」ニーチェ 訳:木場深定


善悪の彼岸 (岩波文庫)

善悪の彼岸 (岩波文庫)


みんなの大好物ニーチェが来たよー!


キリスト教の創り上げた価値観を信仰しちまって、「神の前での平等」とか何とかぬかしやがるから、ヨーロッパに「民主主義」なんてサイテーの思考回路が生まれちまったじゃねーかバーロー!民主主義なんてのは、みんな「畜群」のような矮小化された人間のために生まれてるんであって、「生への意志」、果ては「力への意志」が抜け落ちてる奴らを作り出す弊害にすぎねーんだよー!人間には支配的階級のための、つまり強者の道徳があって、それは自らが価値観の主体になるってので、それからもう一方に被支配者階級の、つまり弱者の道徳もあって、それは画一的で自らを欺瞞して「善」なるものをのみ信望するしかねーんだっつーんだよ!人間は「自由な精神」のうちに、自己を超克して、どんな価値観にも道徳にも先入見にも縛られることなく、自己に対して畏敬を払う「高貴な魂」を持たなくちゃいけねーっつーんだ、バーロー!「善悪の彼岸」にたって、自らが既存の道徳に縛られるんじゃなく、道徳を作り出す存在になるんだっつーの!


ってな感じです。アフォリズムに富んでいて、わかりにくいっちゃーわかりにくいけど、まあ割かしおもしろく読めました。おそらく、一個前の記事で書いたような「疑惑」も、ニーチェ派生のものではないかな。ニーチェの全てを疑って係り、この虚偽の世界をあるがままに受け入れ、「生の意志」、「力の意志」に対して従順になり、自己を超克していくという思想が、ある意味希望にはなっているんだけれど。


それにしても、ニヒリストという印象が強かったが、意外に希望に満ちたことを書いてくれているニーチェさんでした。次は「道徳の系譜」を読むよ。


―「怪物と戦う者は、自分もそのため怪物とならないように用心するがよい。そして、君が長く深淵を覗き込むならば、深淵もまた君を覗き込む。」


326p

総計12639p