07読書日記66冊目 「哲学の改造」デューイ
- 作者: ジョン・デューイ,清水幾太郎,清水礼子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1968/10/16
- メディア: 文庫
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ゼミで読んでいる本。
プラグマティズム(pragmatism)とは「道具主義」とも訳される哲学のことで、パースを始祖とし主にアメリカで力を持った哲学です。昭和初期には日本に大々的に喧伝されて流行していたのですが、今ではすっかり廃れてしまったようにも思えます。とはいうものの、アメリカ的世界観を「誤った」風に構築しているのもこの哲学なのです。形而上学を批判し、実践的な哲学を説く、この姿勢は第一次大戦後の世界にマッチしたものであったろうと思います。現在、全く何の思想も哲学も民衆の中に存在していない(といってもいい)状況で、この哲学観というものを信奉しにくい心持ではあるのですが。
論点
・経験論(ベーコン「知は力なり」)
・形而上学批判(現実は変化と流転に富んだものである。⇒形而上学的ドグマには意味がない)
・経験の理性による再構成(経験論・合理論論争の無意味化)
・理性によって仮設を立て、その仮説を経験的な実験で練磨していく
・哲学は、実際の人間の幸福のために試用されうるものでなければいけない
・哲学は、個別で特殊なuniqueな状況を分析する知的道具である。
・成長そのものが、唯一の道徳的「目的」である。
・道徳の過程とは、個人の成長の過程であり、それゆえに普段の成長を促す経験の再構成としての「教育」が必要。
・哲学が、あるいは教育が個人の能力を解放する
・個人は所与のものではなく、国家が作り出したものである。その国家と言うのは、それぞれの「善」を目指して組織した多種多様の集団を調整し調節するものである。国家を栄光有らしめるために組織を手段とする事はできない。組織とは、個人の独自の価値を共有するものである。
・公共性とコミュニケーションによって、自らの「善」をテストする。
・民主主義とは、人間性を発達させる組織において、その目的決定に参加する場合に限られる
「哲学が現実の動きと協力し、日常的な小問題の意味を明確にし整理するようになれば、科学と感情とは相互に浸透し、実践と想像力とは抱擁するであろう。」
188p
総計18472p