07読書日記72冊目 「ねじの回転」ヘンリー・ジェイムズ


ねじの回転 (新潮文庫)

ねじの回転 (新潮文庫)


珍しく、ビターボイスと一緒の本を読んだのです。この人移行、プルーストジョイスへいたる現代文学の革新的な手法”意識の流れ”がはやっていくわけですが、実際に”意識の流れ”ってなんやねん、っていわれたら説明するんが難しい。


僕の浅薄な感想としては”意識の流れ”手法、っていうのはストーリー・テラーが地に足をつけている、ということなんじゃないでしょうか。つまり、登場人物以外の第三者的な視座から物語が語られているのではなくて、一人称を主語にした描写が常になされている、そういうことではないのでしょうか。つまり、作者が神の様な視点から物語を全般的に眺めるのではなく、その作中人物であり主人公でもある書き手が実際に感じた意識を、主に物語現在という時制を用いながら、まさに「流れるように」意識を連ねていく、そういう手法なのではないでしょうか。


この「意識の流れ」手法、によって生み出される文学というのは、非常に曖昧で読み手の想像力如何でさまざまな風に読み取れるところを特徴とするのでしょう。「ねじの回転」においても、果たして読み手は困惑させられることになる。そこに同性愛的な暗示を読み取ることもできるでしょうし、精神錯乱といった「語り手の揺れ」にいたるまで、あらゆる読みに堪えうる効果をもたらします。


実際、心霊小説としても、あるいは文学史的なタームで言うなら「心理学的小説」としても、優れて面白い小説であることは間違いがありません。あらゆる結末が提示されておらず、そしてあらゆる詳細が曖昧です。それは「想像力」の翼によって読者が補うような作品でもあります。


もっとこの人の作品を読みたくなった。


248p

総計20207p


おおー!総計二万ページいった!

今年中にあと10冊は読む!!!