07読書日記73冊目 「潮騒」三島由紀夫


潮騒 (新潮文庫)

潮騒 (新潮文庫)


小学生か中学生くらいのときに読んで、ずっと忘れてた本。三島は幼い時に読んだものが多いからそれをもう一回読み直してみようと思うのです。(実際読み直すとか言う余裕ないけど笑)


けど「潮騒」は、いいですね。三島の美的感覚がすごく研ぎ澄まされていて。「健全な身体に健全な精神」これに尽きます。


それにしても美しい文章やし(大江以降の作家らはこの美しさにあえて反旗を翻したのだけど)、ギリシア的な健康な美は読むものを魅了してやまないよな。三島はそれに反してボディビルとかボクシングとか言う具合に人工的に体を鍛えていったのではあるけれど。


もちろん初読者からすれば、潮騒を皮切りに「仮面の告白」「金閣寺」と読み勧めればいいんやけど、ギャップには驚かされそうです。


今読めば、裸の二人が焚き火を飛び越えて、清純な愛を誓い合う、という光景の”スムーズさ”にちょっとしらけはするんやけど、そうはいうものの船のロープをどうにかするシーンとかは体が震えたし、照吉の潔さにも好感が持てた。


まるで映画の脚本のために作られたかのような、起承転結の構成は本当に古典足りえるんだと思う。


213p

総計20420p