07読書日記79冊目 「日蝕」平野啓一郎


日蝕 (新潮文庫)

日蝕 (新潮文庫)


おれは、こんなやつには、感動せんぞ!!!


と若干(身勝手な)ライバル視をして読み始めたのだが、すごい。やっぱりすごかった笑


いや、感動はせんかったよ?ただ、21くらいのときに、これを書こうと思い立った決意は半端ない。職業的作家として生きていくんや、っていう気概に満ちてる。


扱っているテーマ、「聖俗」や「現存在と実質の顕現」は、あんまりに巨大すぎてうまく収集できてずに上滑りしてる感じもあったけど、そして21で人生の秋期を迎えた男の回想記を書くって言うとこもあれやけど笑、まぁ、なんしか、怒涛でした。


漢字がむずいとか、ルビが煩雑とか、それは効果です。文学的企みです。いわば、錬金術の造りだす異郷的聖性です。読み出しの初速度は落ちてくるものの、多彩な人物設定、中世的描写と、擬古文的文体が相まって、後半の疾走感はでてくるんですな。


ただ、新潮文庫の裏カバーのコメントは、よーわからん。大袈裟。持ち上げすぎ。「聖性」を文学に肉薄させようとしたんか?


まぁ、実際精子で虹がかかるっていう、よく考えたら面白いストーリーなんですよね笑


212p

総計21844p