08読書日記16冊目「アメリカの夜」阿部和重

アメリカの夜 (講談社文庫)

アメリカの夜 (講談社文庫)

ああ、俺はこれを待っていたんだ!文学の熱き力!(by 表紙)
インデヴィジュアル・プロジェクションよりも、ニッポニア・ニッポンよりも、グランド・フィナーレよりも、アメリカの夜が一番、理想に燃えて、暑苦しくて、ぶっ飛ぼうとしている!あぁ・・・これで群像かぁ・・・うらやましすぎる才能・・・!!!

何を語れば良いのか分からなくなる小説が、それほどにモティーフがごった混ぜになっている小説が素晴らしいと思うのだが、まさにこのアメリカの夜がそれだ。最後の数ページに阿部和重の、これからの文学へ向けての叩きつけるような思いが綴られる。余白を埋めずにはいられない欲求、日常生活の中での仮構を突き崩すようなものを書いていかねばならないのだ。

これは、素晴らしい。何も言わない。僕の読書カードには、僕の言葉がたくさん書き込まれたけれど、このブログには書かない。書いても分からないだろうから。まぁ、なんしか一回読んでみそ、ということ。現代日本文学の臨界点を押し広げるのは阿部和重だ。

今年最高の書のひとつ。

196p
総計4233p