08読書日記24冊目 「逃走論」浅田彰

逃走論―スキゾ・キッズの冒険 (ちくま文庫)

逃走論―スキゾ・キッズの冒険 (ちくま文庫)

俺たちが気をつけねばいけないことは、いくらスキゾ・キッズを目指せと「浅田」准教授が唱えたとて、そのスキゾの意味を取り違えてはならない、ということである。

スキゾ=schizoid=精神分裂的な、ということだが、スキゾというのは、言うならば「構造主義」と「弁証法」からの逃走の態度であり、軽薄に、何も思考せず、読書もせず、というありかたではない。あるいは、浅田であれば、そこからも動的な何かが産み落とされる可能性には言及するかもしれないが、その逃走のしかたを間違えてはいけない。

本書には、デリダドゥルーズ現代思想のエッセンスを論じてある部分が多い。俺は、彼らの著作を読んでからもう一度ここに戻ることにしよう。ただ、浅田准教授は、確実に天才であって、26でこんな本かけるのは、ほんまに天才。スマートすぎて、そして逃走に、凄みがないような気がするのも確かである。

そして、現代(本書が出版されたのは20年前という過去である)では、もはやschizoidな態度ははやらないのではないか、とも思う。

305p
6185p