08読書日記38冊目 「若きウェルテルの悩み」ゲーテ

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

古典中の古典。岩波版ではなくて、新潮文庫高橋義孝訳で読んだ。まさに名訳であった。

中学のときに買って、一ページも持たずに放置していた、友人でも読み通せたものはいない、という読みにくい古典。のはずだったが、買ってから十年近く経って読むと、非常に面白い。書簡体で進んでいく小説ゆえ、メタ的に状況を想像して読み進めていくが、それは読書の楽しみでもある。どうして幼い頃に読めなかったか、それは俺が本当の愛を知らなかったせいでもあるし、それゆえ自らを知らなかったからでもあるだろう。読み通してみて、一番最初の扉の言葉を再び見やると、ウェルテルの亡骸を側に置いて、そこから励まされるようでもあるのだ。

――また、ちょうどウェルテルと同じように胸に悶えを持つやさしい心の人がおられるならば、ウェルテルの悩みを顧みて自らを慰め、そうしてこの小さな書物を心の友とされるがよい、もし運命のめぐり合せや、あるいは自分の落ち度から、親しい友を見つけられずにいるのなら。

213p
総計9819p