08読書日記71冊 「文明の内なる衝突」大澤真幸

大澤さんって、よく考えたら自らの「第三者の審級」理論+「求心化・遠心化」理論に、ジジェクやらアガンベンやらの理論を援用して、横断的に組み合わせるのがものすごく上手なんですよね。

本書は9.11テロの後に、一連の哲学者の発言を受けて、彼独自の「羞恥」を担保にした普遍化を志向している。文明の内部に「他者」がいるという発想はうなづけるし、コミュニタリアンモダニズムポストモダンの三幅対を打破したい意気込みも納得できるけど、彼の言う「羞恥」を担保にした普遍化、贈与、というのはどうにも、論理がぶっとんでるっていうか、飛ばしすぎな感じするかな。思い返してみれば、今年に入ってから本書を合わせて五冊、大澤さんの本を読んでるんやけど、うーん。「恋愛の不可能性」とか「資本主義のパラドクス」のが詰めてるかなっていう感じか。感動は、「不可能性の時代」がおおきかったんやけど。

242p
総計19444p