08読書日記72冊目 「木犀の日」古井由吉
- 作者: 古井由吉,大杉重男
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/02/10
- メディア: 文庫
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私小説でありそうで、そうではないし、なんというか、純文学のきわみ。読んでたらたまらなく眠くなるし。かといって退屈なわけではなく、心理的な揺れは興味深いし。主語が精確に語られるわけではなく、接続語も省かれているので、モノクロームの中でカメラをずっと回しているような不思議な感覚。
――何事か、陰惨なことが為されつつある。人を震わすことが起りつつある。あるいは、すでに為された、すでに起った。過去が未来へ押し出そうとする。そして何事もない、何事のあった覚えもない。ただ現在が逼迫する。(『眉雨』)
284p
総計19728p