08読書日記75冊目 「歌行燈・高野聖」泉鏡花

歌行燈・高野聖 (新潮文庫)

歌行燈・高野聖 (新潮文庫)

読書会で読んだ本。

エロすぎる! 妖艶、面妖、とにかく、エロイ描写ないのにエロい。散文から詩へ、という系譜的には泉鏡花の精神は、古井さんあたりに受け継がれてそう。しかし、内容はともかく、独特の日本語が美しい。それこそ<音>としての日本語の極致であろう。「歌行燈」では、それが絶頂に達していて、能の舞とともに語られるほとんど抒情詩的ですらある語りは、ぞくぞくとさせる。確かに、序破急に則った書かれ方をしていると感じた。クンデラは、オーケストラの書き方と同じ書き方を小説において試みたが、泉鏡花はそれに先んじて、ほとんど前衛的ですらある文学を生み出している。大体、読みやすい文体こそが一番良い、としたり顔で語っているビッチは、まじでファックオフなのである。

「渠」を(かれ)と読ませるのが、もう痺れまくる。

284p
総計20810p