08読書日記98冊目 「日々の泡」ボリス・ヴィアン
- 作者: ボリスヴィアン,Boris Vian,曽根元吉
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1998/03/02
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 40回
- この商品を含むブログ (90件) を見る
最初は読みにくいと感じる人もいるかもしれないが、後半、急速に人物像が頭に描けるようになってきて、最後には圧倒的な悲痛さを心に抱かずにはいれない。難しい言葉はない。ただ、淡々と悲痛さが露になってきて、最後にはどうしてひとは(というより俺は)恋愛をせずにはいられないのだろうか、このように無益なことであるのに、という切実な気持ちになる。
――
『「ゆるしておくれ、クロエ」コランは言った。「ぼくは畜生だ」
彼は近づくと彼女をひき寄せた。あわれにも呆然としている眼にくちづけると、ゆっくりと重苦しく鼓動する彼女の心臓が彼の胸の中で感じられた。
これだけで、ご飯何杯でもいける気がする。
302p
総計28791p