08読書日記102冊目 「アムステルダム」イアン・マキューアン
- 作者: イアン・マキューアン,小山太一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/07/28
- メディア: 文庫
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マキューアンは、現代イギリス文学の巨匠で、カズオ・イシグロと同じくらい有名だと思われる。日本でも最近は「贖い」という映画が公開したこともあって、『英語青年』では特集を組んだりして、ようやく受容されつつある。小説"atonement"(邦題『贖罪』)もぜひ読みたいと思わせる。ポスト・モダン的ではなくて、イギリスのと言うよりダブリンの伝統を受け継ぐような、心理小説的企みに満ちた小説である。
二人の野心的な友人が、互いの共通の恋人がショッキングな死を遂げた、というところから二人の人生は錯綜していく。筋としたらありきたりなんかもしれんが、僕としては作曲家であるクレイヴに肩入れしながら読んだ。自らの作曲が、死後、完全なる駄作として破棄されることほどつらいことはあるまい。大文字の小説というものがあるとすれば、この人は間違いなくその伝統を受け継いでいるであろう。
211p
総計29789p