09読書日記13冊目 「欲望という名の電車」テネシー・ウィリアムズ
- 作者: テネシーウィリアムズ,Tennessee Williams,小田島雄志
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1988/04/08
- メディア: 文庫
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アメリカの香りがこれほどまでに感じられる戯曲作家もいるまい。古き良きアメリカ映画を見ているようでもあるし、階級人種ごったまぜのなかで、泥臭くたくましく生きる人らの狂気的な悲劇が、そこにはある。あくまで階級的な美意識に取り付かれ自分を繕うことで生きてきた―その結果、最後は顕わになった自らを直視できずに狂ってしまう―ブランチ、暴力的な夫に対して惨めな生活を送るステラ、その夫で過激なまでに動物的な<欲望>の持ち主であるスタンレー。彼らは、<欲望>という名の電車に乗って送られてき、<極楽>という町に住む者らである。彼らは、ヨーロッパ的な虚偽意識をかなぐり捨て、極めて資本主義的な<欲望>の奴隷となって、動物として生きるものらである。そこでは誰もが「どんなことになろうと生きていかなきゃならない」のである。
221p
総計4452p