09読書日記14冊目 『社会認識の歩み』内田義彦

社会認識の歩み (岩波新書)

社会認識の歩み (岩波新書)

この人の『読書と社会科学』も読んだが、どうしてか入り込めない。講義調なのが無理なのか、それとも持って回ったような感じが嫌なのか。結論が曖昧であるし、切れ味が良くない。

マキャベリからはじめて、ホッブズ、ルソー、スミスと見ていくのだが、常に(60年代末ということもあってか)マルクスの体系に照らし合わせて論じてある。マルクスと比較させながら見ていくやり方は、それはそれでアリなのだろうが、この人の論じ方がまず分かりにくいし、凡庸である。何しか、引用文中に”―”を使って、自分の解説を紛れ込ませていくあたりがうっとうしすぎる。おそらく戦後民主主義的な価値観、とくに丸山真男の影響下にあったであろうことは見て取れるのだが、丸山のほうが数倍表現力に長けているし、華麗である。

資本論の世界』ももっているが、読むのをためらう。

209p
総計4661p