09読書日記24冊目 『ハムレット』シェイクスピア

ハムレット (新潮文庫)

ハムレット (新潮文庫)

シェイクスピアの戯曲の本質は雄弁にあると思う。翻訳家泣かせの韻律は随所にちりばめられているし、『ハムレット』では特に有名なTo be or not to beという名台詞もある。福田恒存の訳は無難であって、読みにくいわけではない。

ハムレットマクベスを批評した文章は星のごとく存在するし、実際「亡霊」という極めて現代思想的な概念がそうさせるのであろう。それよりも何よりも、終局にいたって一斉に登場人物の大半が死滅するというものすごいエネルギーが批評家の批評精神を突き動かすのかもしれない。マクベスはぴんと来なかったが、『ハムレット』『リア王』は、戯曲で読んだとしてもすばらしいと思う。日本では最近、『コリオレイナス』や『冬物語』『ペリクリーズ』などが上演され、四大悲劇はあまり上演されていないようであるが、是非とも『リア王』や『ハムレット』をやってほしい。

255p
総計8440