09読書日記35冊目 『これはパイプではない』ミシェル・フーコー

これはパイプではない

これはパイプではない

フーコーによるマグリット論。『言葉と物』と同時期に書かれたものであり、用語系は同書と似ている。『これはパイプではない』によって、マグリットが試みているのは、相似similitudeの体系の確立である。マグリットフーコーに送った手紙の中で、彼が語っているように、類似ressemblanceとの違いは分かりにくい。僕の理解によれば、類似とは思考(言葉)の働きによって、<物>を肯定=断定する働きである。つまり、言語記号によってものを表徴することである。それは古典主義時代に顕著に見られる類似のエピステーメーである。カリグラムが文字の記号作用と絵画の表象作用を一致させて曖昧にするのであるが、『これはパイプではない』はそのカリグラムを解体し、文字からその文字作用をひきはがし、絵画から表象作用をひきはがす。<物>が描かれたものに、類似による表象によって従属している状態を、剥奪するのである。クレーやカンディンスキーが<物>の類似である絵画を否定し、新しい表徴を紡いだのに対して、マグリットは絵画の中に言説を配することで、タブローの空間がそれ自体として成り立つ相似の体系を作ったのだった。文字表記的要素と造形的要素を切り離すことに執着しているのだ、という。タブローの中に、一つの無秩序を作り上げてしまった。それは類似なく相似する。

難しい。。
135p
総計11538p


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