09読書日記50冊目 『集中講義!アメリカ現代思想』仲正昌樹

集中講義! アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険 (NHKブックス)

集中講義! アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険 (NHKブックス)

著者が指摘するように、政治思想史の分野においては、今一番旬なのがアメリカである。本書は、様々なリベラリズムの論争を要約してくれている点で、問題意識がはっきりとする。環境問題に対しての思想が無いのは残念であったが、政治思想に限ったことであるため仕方ないだろう。9.11以後にあって、どのように世界規模で協調的な秩序をつくっていくのかについては、議論の収束点がいまだに見えない。アメリカとヨーロッパの秩序には違いがあることは周知だが、そこへ日本がどう参与していくのかについてもまだまだ考えるべきところはたくさんある。僕としては、共和主義的な徳を現代化して考えたとき、やはり公的領域での市民の活動こそが、秩序形成に至る動きではないかと考えるが、理論的に精密化されてはいないので、なんともいえない。


291p
総計16195p