09読書日記85冊目 『反=日本語論』蓮實重彦

反=日本語論 (ちくま学芸文庫)

反=日本語論 (ちくま学芸文庫)

はじめてのはすみん。

エスプリが効いていて、しかも豊穣な(いわゆる蓮實)文体を読み進めていくということは、とても幸福な時間であった。著者は、日本語とフランス語の間を行き来しながら、西欧の音声中心的な考え方を、無秩序の秩序としか言い様のない日本語との対比で明確にしていく。その際に微笑ましくも引用される"バイリンガル"の息子や、シャンタル蓮實婦人のエピソードは、筆者の思考を刺激する。何度も同じ話しが繰り返されてはいるのであるが、あくことなくそれぞれの小編を愉しむことができ、さらには少しだけポスト構造主義をかじれた気にもなるのである。

318p
総計28852p