'10読書日記11冊目 『わたしは花火師です』ミシェル・フーコー

わたしは花火師です―フーコーは語る (ちくま学芸文庫)

わたしは花火師です―フーコーは語る (ちくま学芸文庫)

222p
総計2812p
フーコー入門(?)に良いんじゃないかな。僕ももちろん入門しましたYO!
自身の立場を(彼自身は身元への問いを回避することに全力を傾けたがるのですが)説明したような論文「わたしは花火師です」や、医学の知の歴史(規律権力と生権力)を追った「医療化の歴史」「近代技術への病院の統合」は読みやすいです。
特に面白いと思ったのは、カントの『啓蒙とは何か』についての講演「批判とは何か――批判と啓蒙」です。フーコーはその中で「わたしのような、ほんらいの意味で哲学者ではない人間が、どうにか批判的でしかない人間」と述べているのですが、その批判というものが、カントの「啓蒙」の概念と親和的であるということが明らかにされます。しかし、カントの中では「批判」はフーコーの言う批判と<ずれ>ているのだというのです。カントの批判は、啓蒙専制君主フリードリヒ大王の「好きなだけ何事についても議論せよ、ただし服従せよ」の言葉と響きあうものであるのです。フーコーの批判、カントの啓蒙は、「いかに統治されないか」ということと密接に結びつくのだと言います。
さて、このようなことまでは理解できたのですが、そこから先はいまいち分からない。まだまだ僕の修練が足りないと言うことでしょうか。少なくとも、フーコー・コレクション6『生政治・統治』に所収の「啓蒙とは何か」はちゃんと読もう。ね。