'10読書日記12冊目 『善と悪――倫理学への招待』大庭健
- 作者: 大庭健
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/10/20
- メディア: 新書
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総計3032p
いや、ヘーゲリアン・ハーバーマシアンな雰囲気も漂っておることよなあ、と思いながら読んでいましたら、どうも筆者はその昔ヘーゲル周辺を研究されてた模様。僕は基本的にヘーゲルの構図が好きなので、筆者の議論は面白く読めました。特に第二章の、「存在論的亡命」というのは興味をそそるキーワードだと思います。そして相互性の顧慮――「互いに言語を用いて相手の体験を想像することができている以上」…「良い/悪い」の見極めが働いている、というのも、重要だと思います。言語共同体のそういう記述性を批判していくこと、それに従って生きていることは、道徳原理の基本なのでしょう。が、やはりどうもハーバーマスやリベラルが陥ったような穴に、筆者の議論も落ち込んでいきそうな気もするのですが…。うーん。