'10読書日記47冊目 『フーコー・コレクション3 言説・表象』ミシェル・フーコー

「侍女たち」で始まる今回のコレクションは、フーコーがいよいよ考古学的手法に着手して行った時期の論文が中心である。
時期としたら1966年『言葉と物』、1969年『知の考古学』のあたり。65-71年までの論文である。方法論(考古学)について、言説編成体formation discursiveや言表énoncé、古文書=記録態l'archive、知savoirといった概念を組み立てながら説明がなされていく。
言表とは、歴史的に出現する出来事であり、それを特殊なものとして扱わねばならない。言説的出来事としての言表は時間の経過とともに分散していく。それゆえ、言表が分散した空間を明るみに出さねばならない。ところで、出来事としての言表の集まりをまとめあげているのが言説形成体であり、それは差異と分散の規則的なルール・システムである。こうした言説形成体の実定態から形成される様々な要素の集合こそが、知なのである。この知の空間を明らかにすることこそ、考古学の企図となるのだ。3「歴史の書き方について」5「科学の考古学」も難しいながら、考古学の検討には欠かせない。
一方、このコレクションでは、フーコーの後期へと一つ足を踏み出している。それは系譜学である。考古学から系譜学へ。それを予告するのは11「ニーチェ、系譜学、歴史」である。ニーチェを読みながら「系譜学」を紡ぎだすフーコー。75年『監視と処罰』76年『知への意志』への出発準備はできている。
460p
総計14113p